なんでもいきなりやってくる
告知もステージ変更も体調が悪化するのも、
全ていきなりやってくることを、夫のがんで学びました。
私は母を脳腫瘍で亡くしています。
かれこれ9年ほど前のことです。
記憶は薄れながらも、鮮明に覚えている出来事もありますが、
とにかくその時も全ては突然でした。
私は18歳で九州から東京に上京し、既に40代半ばとなりました。
そのまま結婚もしたので、親とは18歳からずっと離れて暮らしています。
母の看病も父任せでした。その頃はこどもたちがまだ小さかった(小学生でした)こともあり、簡単に帰省できない事情もありました。
なので、正直看病が「他人事」だったんだと、今振り返ると思います。
父には大変な思いをさせてしまいましたし、母は私と話をすることが大好きだったので、親不孝をしたと後悔しています。
父は今も元気に九州で弟と一緒に暮らしています。
一緒に暮らしていた母方の祖母も10年前に老人ホームで老衰で亡くなっているので、
身近な人の看病体験がないままでした。
病気がいきなりやってくることは知識的にはわかっていました。
お腹の激痛で夫を夜間救急へ運んだとき、うっすらと「これは大変なことになるかもしれない」とは思っていました。
腸閉塞になっていて大腸が小指ほどの隙間しか空いていない箇所があると聞かされたときに、もしかしたらがんかもしれないとも思いました。
大腸がんでしたと医師から告知されたときも、やっぱりそうだったのかという感じでした。
ただ、その最初に医師に大腸がんを告知されたとき、ステージⅢbという話だったんです。転移がなかったということが「闘えばなんとかなる」という安堵と勇気を与えてくれていました。
ですが、その約3日後にステージⅣへの変更が告げられたのですが、その時はあまりの突然の告知に、血の気が引くってこういうことだと言うくらいに手足が冷たくなって意識が遠のくのがわかりました。夫もこの時初めて「まだ死にたくない」と泣きました。
ステージが変更になることがあるなんて、想像もしていなかったのです。
後々、ステージ変更はあることだということを、がん患者さんのブログで知りました。
ひょっとしたら手術前にステージ変更があるかもしれない・・・なんて、あまりそこまで覚悟を決められる人はいないと思いますが、そんなこともあるんだよということを頭の片隅に置いておいてもらえたら、きっとショックの受け方がほんの少しだけ変わってくるんじゃないかと思います。
余計なお世話でしょうけど。
今回の夫の具合の悪さも、ある意味突然でした。
昨日までわりと調子が良かったのに、今日になったら急に起き上がれなくなっている、みたいな感じ。
病気の野郎はいつも突然悪さを仕掛けてきます。
大きな病気を抱えている家族がいる場合、毎日がギャンブルのようで、全く予定が定まりません。
こういうことが積み重なって、看病を理由に仕事を辞める人が出てくるんだろうなと思ったりしています。