ひねもすのたり

日記のような、つぶやきのような、そんなブログです。夫が末期がん患者です。

大腸がんステージⅣの主人のことと家族のこと。

夫が昨年末、がんと診断された。

青天の霹靂とはまさにこのことだと思ったわけだが、半年ほど経過して、気持ちも暮らしも落ち着いてきている。

夫が「がんです」と診断されても、粛々と暮らしていくしかないわけで、仕事もあれば、食事の支度も、子どものことも、近所づきあいだって普段通りにこなすしかない。

しかし、この「無理矢理の普段通り」が落ち着いた精神状態へ早めに引き戻す手伝いをしてくれたと、今振り返ると思う。

 

夫はマスコミ関係の職に就いている。

がんと診断されるまでは、毎日遅くまで働いたり、付き合いがあったりで、多忙を極めていた。お酒も甘いものも脂っこいものも大好きなので、週末は夫婦で晩酌していた。

かなり体重も増えてきており、日頃から「痩せた方が良い」と言っていたが、意に介することはなかった。「太く短く生きる」と豪語していたあの頃、もう少し節制していたら、今が違ったのだろうか。

 

夫のがんは、大腸がんだ。

ステージはⅣ。遠隔転移も有りという、最悪な状態で夫のがんは発見された。

クリスマスや年の瀬でバタバタし始める12月19日深夜に、夫はお腹の激痛で病院に搬送された。いや、正確には私が病院へ連れて行ったわけだが、その辺りのことについては、今後書くことにする。

腸閉塞を起こしており、その「閉塞」が「何で」起きているのか、そこが問題になり、検査となった。診断確定にも紆余曲折があったわけだが、これも今後詳しく書く機会があるだろう。

ステージⅣだと手術してもあまり意味がないと医師が判断する場合もあると思うが、主人の場合、がんが腸をふさいでおり、小指の外周程度の穴しか通っていない状況だったため、切除しないと生きていけない状態だった。

開腹手術となり、太っていた主人は、予定4時間の手術が8時間もかかってしまう。開いたところがくっつくのにも時間がかかり、さらに膿みやすいため、普通の人にはやらない処置も行った。やっぱり肥満にはいろんなリスクがつきまとうということを痛感したわけで、今太っている方には、リスク回避のためにもダイエットをオススメしたい。

 

入院期間は21日間に及び、年をまたいだため、クリスマスも大晦日も正月も、主人は病院のベッドで、食べ物は一切食べられない状態で迎えた。

こんな状況で私も子どもたちも、美味しいものを食べる気になれず、良いように言えば、お金を使わずに済んだのだが、クリスマスらしさや正月らしさはほぼ感じられることなく過ごした。その頃は「いつか、こんな時もあったなあなんて懐かしく思い起こす日がやってくるのだろうか・・・」なんて思っていたわけだが、半年しか経たない今、既にあの頃のことをぼんやりと懐かしく思い起こすことがある。これもがんを患う本人ではないから、結局は他人事でしかないのか、それとも、人間の脳はそうポジティブにできているのか、それはよくわからない。

 

がん患者を支えるー。

家族としてはとにかく受け入れていくしかなく、その時その時の状況を飲み込むだけで精一杯の中、甲斐甲斐しく支えるのが当たり前であるかのように周りからは扱われる。もちろん支えていくし、支えたい。しかし、やるしかないという気持ちが少なからずある。普段の生活が出来るようになって欲しいというのもあるが、後々悔やみたくないという思いも強い。結局自分の為じゃないかと言われそうだが、確かにそれはあるし、だからこそいろんなことにトライしたり決断したり、いろいろと諦めたりもできる。私は私なりに追われている。疲弊することも多い。


私たちが取り組んでいることは、いろいろ調べ、主人と話し合い、悩んだ挙句、たいへんだろうと想像がつく中で決断してきたことではあるが、それを声高に「がんと闘う主人のために行っている」こととして「がんと診断された方のご家族に勧めたい!」みたいに、このブログに書くつもりは毛頭ない。そんなブログは山のように存在しており、今更私がやることでもない。そして、自己満足な承認欲求ブログにもしたくない。そもそも主人はがんと闘ってない。いや、それは違うかな。正確には「主人の身体の正常な細胞たちが闘っている」という感じか。とにかく精神的にファイティングポーズは取ってないはずだ。


このブログを読んで「ああ、こんなパターンもあるのか」「こんなんでいいのかよ」「どこもたいして変わらないなあ」といった感想を持ってもらえたら幸いである。